現在、年少のえいくん。モンテッソーリ教育を取り入れたカトリックの幼稚園に通い始めて1年が経ちました。幼稚園により違いはあると思いますが、息子の様子を交えながら、モンテッソーリ教育の幼稚園の親が感じたメリット、デメリットを書いていきたいと思います。モンテッソーリ教育に興味のある方、幼稚園・保育園選びで迷われている方の参考に少しでもなればと思います。
モンテッソーリ教育のメリット
一つ目は、子どもによって個人差はあると思いますが、集中力が養われます。保育参観で部屋でお仕事をしている子どもたちの姿を見た時は驚きました。お仕事中は、部屋がとても静かなのです。保育士として年少の担任をしていたことがありますが、信じられないくらい部屋が落ち着いているのです。この環境の中で、子どもたちはそれぞれが自分のやりたい仕事を見つけ、黙々と取り組む、保育者は基本的にそれを見守り、必要な時にだけ声をかけたり、手助けしたりしていました。物的環境(モンテッソーリ教具)、人的環境(モンテッソーリ教育を理解した保育者)が適切に整えられているからこそ、子どもたちは落ち着いて自分で選んだお仕事に向き合うことができるのだと思います。小学校教諭の友達から小学1年生は、まず1時間座って授業を受けることが目標という話を聞いたことがあります。確かに、保育士としての経験を踏まえて考えると、長時間座って何かに取り組むという時間は保育園では正直確保されていません。ですが、モンテッソーリ教育を通して、自ら選んだお仕事に集中して取り組んだ時間と経験は小学校の授業の中でも生きてくるんだなと強く感じています。
二つ目は、自分でお仕事を選ぶことが当たり前であるということです。この”自分で”という点が大切です。保育者にやらされるのではなく、自分がやりたいと思ったお仕事にとことん取り組むことができ、またやりたくない日はやらなくて良い、子どもがしたくないのであれば、何もしない日があってもよい、と基本的に子どもに選択権があります。一斉保育(一斉に保育者の支持を聞き同じことをする)とは真逆で、自分で選び、考え、行動することができるので、結果として主体性を育むことにつながっていきます。最近増えていると言われている”指示待ち人間”という言葉を聞いたことはあるでしょうか。人からなにか指示されないと動けない人を指す言葉です。一斉保育にはそういった面が少なからずあるのです。昨今、教育現場で言われている非認知能力の向上には、この主体性がとても大切だと言われています。この主体的に取り組むことを日常的に経験できていることは、強みだと感じています。
三つ目は、手先を使ったお仕事が充実していることです。例えば、シール貼り、縫いさし、はさみ切り等、手先を使ったお仕事はたくさんあります。なぜ、手先を使うことが大切なのか。それは、これだけではないですが、手先を使うことが小学校の読み書き計算の土台となるからです。といっても、手先を使った遊びは、モンテッソーリ教育でなくても取り入れられていることですので、今回は割愛します。
四つ目は、1クラス30人の異年齢保育ということです。息子の通う幼稚園は、モンテッソーリ教育の考えに基づき、異年齢保育のクラス編成になっています。1クラスに年長、年中、年少が各10人ずつ在籍し、保育者は担任と副担任の2人です。年少児は、年上に子に憧れを持ったり、年中、年長児は年下の子に優しくしたりとよく言われるメリットはもちろん感じていますが、それ以外にも、子ども30人に対し、保育者が2人という点に関しても、メリットを感じています。それは、なにか困ったとき、助けてほしいとき、分からないときにすぐに保育者に聞くことができないという点です。一見、デメリットにも感じることですが、わたしはメリットだと思っています。なぜなら、すぐに保育者に聞くことができない環境だからこそ、まず自分で考えようとする、それでも解決しなかったら、まわりの友達を見て真似たり、分かる子に聞いたりするというステップが解決するまでの中に入るからです。自己解決力とも言いますが、解決するために自分で考えて行動する力が養われると考えています。この力も前述の非認知能力の向上にはとても大切なのです。保育士として働いていた時は、少人数保育で手厚く保育することが良いと思っていました。ですが、息子をこの幼稚園に入れて、多い人数の中で生活することで育つ面もたくさんあることに気付かされました。
以上、4つの点が1年間通わせてみて感じたモンテッソーリ教育のメリットです。2年、3年と通わせることでもっと違う点でのメリットが出てくることを期待しています。また、随時更新していこうと思います。
モンテッソーリ教育のデメリット
これは、息子を通わせている幼稚園だからということもあると思いますが、モンテッソーリ教育の幼稚園選びをされている方の園を見る視点になればと思います。
一つ目は、ままごと遊びの環境が保育室内に整っていないことです。わたしは男女関係なく、ままごと遊びをおすすめしています。なぜなら、ままごと遊びの中で、創造する力、他者と関わる力、コミュニケーション力などが培われます。ですが、息子の通っている幼稚園では保育室内にままごと遊びができないのです。しかし、園庭(屋外)の環境を見てみると、自然物を使ってままごと遊びができるような環境が整っていました。外で体を動かして遊ぶことも、粗大運動としてモンテッソーリ教育では大切にされています。そんな環境を目の当たりにして、この園でも外遊びの時間が大切にされていることがわかりました。当の息子は、外では走り回って遊ぶことに夢中でままごと遊びはやっていないようなのですが…。でも、自然物を使ってままごと遊びをしている友だちを近くでみるだけでも、感じることがあると思っています。遊びの種まきですね。ぜひ、室内だけではなく、屋外の環境もよーく見てみてください。
二つ目は、制作遊びやお絵描きの時間がないことです。折り紙は、季節の制作物を作ったりする中で経験しているようです。ですが、紙や空き箱、段ボールを使っての制作遊びや、自由に絵を描く時間は、幼稚園のなかでは取り入れられていません。幼児期に大切にしたい遊びの中に表現あそびといわれるものがあります。これは、歌ったり音楽に合わせて踊ったりすること、なにかになりきって演じることの他に、身近なものを使って、自分で想像し試行錯誤しながら作ること、自分の思いを絵で表現することも含まれています。これらの経験は幼児期にとって得意、不得意はあれど、自己の思いをものを通して表現することは、自分の心を守る上でもとても大切なのです。その経験を補う意味で、この幼稚園では”ご紹介の時間”というのが週に1~2回ほど取り入れられています。これは、家庭で身近なものを使って作ってきたものを、クラスのみんなの前で紹介するという時間です。この時間があることで、作ろうと思えたり、友だちが作ってきたものを見ることで作ってみたいと思ったりすることができ、家庭で制作遊びをするきっかけとなっているように思います。すべてを満遍なく、うまく保育に取り入れている幼稚園、保育園が一番良いとは思いますが、そんな理想的な園はなかなか見つからないのが現実です。なので、足りない部分は家庭で補う!くらいの気持ちを持つことも必要だと感じています。
以上2点が、今現在感じているデメリットです。こちらも、随時更新していこうと思います。(出てこないに越したことはないですが…(笑))
息子を1年通わせてみて…
メリット、デメリットありますが、わたしはこちらのモンテッソーリ教育を取り入れているカトリック幼稚園に入園させて良かったと思っています。それは一番は息子が毎日楽しそうに幼稚園に通い、笑顔で帰ってくるからです。やはり、これが一番大切ですね。それ以外にも、キリスト教の教えにより個を尊重し、一人ひとりの思いに寄り添った保育をしてもらえていると随所に感じることができるからです。それは、メリットの部分でも書いたお仕事をやりたくない日があっても良い、やる・やらないを子どもが選択できるという他にも、こんなエピソードがあるので紹介させてください。クリスマス会での出来事です。キリスト教の幼稚園なので、クリスマス会は1年の中で一番のビッグイベントで、年少の子どもたちも衣装を着て、遊戯室のステージの上で音楽に合わせて踊ることになっていました。が、息子は練習のときからステージには立つけれど、一切踊らなかったそうなのです。本番でも結局踊りませんでした。親としては、複雑な心境だったのですが、そんな息子に対し、先生方は最後まで温かいまなざしで見守ってくださいました。本番でもやらない選択をした息子に「それでもいいんだよ。」と寄り添ってくださいました。やらないという思いを表現できたことは息子にとって幼稚園が安心・安全な場所であることの表われなんだなと思った出来事でした。幼稚園が息子にとって安心・安全の場所となっていることが分かった出来事であり、こちらの園に安心して息子を預けることができる、こちらの園にして良かったと思えた出来事でした。
幼稚園・保育園選びやモンテッソーリ教育ってどうなの?と思っている方々のお役に少しでも立てば嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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